2015.8.15 update 奥歯がないと動脈硬化リスク倍?
8月も半ばになりまして、お盆休みで里帰り中、なんていう方も多いのではないでしょうか。都会の喧騒を離れ、静かな田園地域に戻ってみれば、都心への一極集中と地方の疲弊を感じざるを得ず、少子高齢化の波というものをじかに感じる良い機会かもしれません。
そんなタイミングをはかっていたのでしょうか、少し前に厚生労働省のある研究調査結果が発表されました。奥歯を全て失った高齢者は、奥歯が全部ある高齢者に比べて動脈硬化になるリスクが約2倍に高まるということがわかったんだそうです。
脳血管疾患や心疾患などの動脈硬化性疾患は、日本人の死亡原因としてはガンに次いで多い病気ですので、気になる方も多いと思います。「じゃあ、頑張って奥歯の歯磨きを頑張ろう!」と張り切ることは大事ではありますが、奥歯が残ってさえいれば良いのでしょうか?ここではもう少し掘り下げてみましょう。
実は「奥歯が全部ない」ということと「動脈硬化になるリスクが約2倍に高まる」ということの間には、もう1つ要因が挟まっています。それが「(奥歯がないから)食べ物が食べにくい」ということです。
この調査にあたった研究者のコメントとして、「咬みにくい緑黄色野菜などの摂取量がへるからではないか」、「奥歯がない人は、繊維質が多い野菜や、貝類、干物などを避けてしまうのだろう。」「入れ歯を使うなどして、しっかりと食べてほしい」とあります。
つまり「奥歯がない」ということは「物が咬みにくい」と同じ意味で使われているということです。この調査では「奥歯の有無」を対象としていますが、奥歯があってもしっかりと物が咬めないのなら無いのと同じ、というわけで、そこに奥歯の咬み合わせの悪さの調査も入っていれば、動脈硬化のリスクはもっと上がるだろうことが予想されますよね。
奥歯の咬み合わせ治療は、お口の奥という場所的な問題や、もともと歯がしっかりしているという性質状、難しかったり時間がかかったりすることはあるのですが、歯やその周囲が健康であれば、何歳からでも矯正することは可能です。
かぶせものやインプラント、入れ歯など、歯がなくなった後に原状回復するための作り物は色々ありますが、天然の歯にはかなうものはありません。また見た目重視で機能のことを無視した矯正治療も、審美的な意味しかないことが多いです。「自分の歯並びでしっかり咬める」ことが大切だと思います。